オーストリア製ハンドメイド


ベーゼンドルファーピアノには、創業以来守り続ける伝統工法や、職人のこだわりが随所に散りばめられています。組み立てだけでも丸一年をかけ、丹精に作り上げられた至高のピアノは、まさにお客様のためだけの特別な一台です。ウィーンの伝統と職人の個性があふれる、あたたかな音色と造形の美しさをお楽しみください。

ベーゼンドルファーの魔法


現存する最古のピアノメーカーであるベーゼンドルファー社は、創業から200年近く経った現在も、オーストリアの職人たちが経験とノウハウを積み重ねながら世界中に最高のピアノを届けています。そしてその熟練の技は今もなお世代を超えて受け継がれているのです。 
私たちは「究極のピアノの音色を体験していただきたい」という強い想いとこだわりを持っています。 
ベーゼンドルファー独自のDNAともいえる、温かみのある、色彩豊かなサウンドは、熟練の職人と音楽の都の歴史と伝統によって生み出されるものなのです。

共鳴するボディ



ベーゼンドルファーの工場:共鳴体となるリムの組立

ほかのメーカーとは異なり、ベーゼンドルファーではスプルース材をより贅沢に使用しています。ベーゼンドルファーのピアノには、80%以上の割合で、楽器に適したスプルース材が使用されています。響板だけでなく、ボディ全体でピアノの音を生み出すという点では、ヴァイオリンなど弦楽器の構造と極めてよく似ています。その箱(ケース)ともいえるボディの核となるのは、細かく切れ込みを入れた、厚さ10ミリの木材の側板です。これはケース内側の形状に沿って無理なく曲がるように、職人が丁寧に溝を掘ったもので、ベーゼンドルファー独自の製法です。キーを押すと、スプルースで出来たボディ全体に音響が伝わり、共鳴することでピアノ全体が演奏に応えます。こうしてベーゼンドルファーならではのこの上なく豊かな音色と、伝統的な純粋で煌めくサウンドが生まれます。このような複雑な構造は、ウィーン伝統のピアノ作りの一端となっています。

 

ピアノは打楽器だと考える人もいるが、私は断じて違うと言いたい

サー・アンドラーシュ・シフ

こだわりの天然木


ベーゼンドルファーのピアノづくりは、厳選された木材を丁寧に自然乾燥させるところから始まります。四季の移り変わり、太陽、風、極端な気温の変化に木を晒すことで、ゆっくりと熟成させます。
ベーゼンドルファーのピアノの製造には高級なスプルース材が80%以上使われており、どのメーカーよりも割合が多いのが特徴です。私たちが使用するオーストリア産スプルース材は、密度が濃く、均質な木目が得られる、標高800メートル以上の厳しい環境で育ったものでなければならず、特に樹液が少なくなる冬の時期に伐採されます。選び抜かれた樹齢約100年の最高級の木材は年齢が詰まっているため、音がピアノ全体に伝わりやすくなります。

木の誕生から考えるとピアノの製作を開始するまでに100年以上の年月が経っていることが分かります。これはベーゼンドルファーサウンドを生み出すのに必要不可欠な、かけがえのない時間なのです。

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木材は屋外で、約5月もの時間をかけてゆっくりと自然乾燥させます。

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力強い音色を生み出す低音弦は、限られた熟練の職人の手により、一本一本丁寧に手作業で巻かれます。

手巻きの低音弦


ベーゼンドルファーの低音弦はすべて、限られた職人によって独自の手巻き作業で製作されます。芯となる鋼鉄弦には1本、または2本の銅線が巻き付けられます。慎重に巻き上げた弦は、ベーゼンドルファーの温かく、深みのある低音を作り出す重要な要素です。

オーストリアならではの職人技


ベーゼンドルファーのピアノは単なる投資対象ではなく、世代を超えて受け継がれる価値ある逸品です。熟練の技を持つ職人が、ベーゼンドルファーの個性溢れる音色、ダイナミクスそして表現力を備えたサウンドに秘められた美を巧みに引き出し、世界にたった一台のピアノが製作されます。すべてにおいてこだわり抜いた最高の品質、その音色は、唯一無二の感動を遥か先の世代にまで伝えます。私たちは心を込めて、約1年がかりであなただけのベーゼンドルファーピアノを製作します。ピアノに指を触れた瞬間、温かみを感じて頂けるでしょう。それはオーストリアの伝統が生んだ最高品質であり、ウィーンの魂そのものです。

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寄せ木細工の芸術。様々な職人技を駆使して一台のピアノが出来上がります。

独立したカポダストロ



ベーゼンドルファーはピアノメーカーで唯一、着脱式の独立したカポダストロを高音部に採用しています。これは、最も正確な高音域の調整を可能にし、数世代に亘り、ベーゼンドルファー本来のサウンドを保証するものです。世代を超えて受け継がれる個性的なサウンドです。

時に、ピアニストは歌手のように音を奏でようとします。私自身は、ベーゼンドルファーのように歌おうと努めています

プラシド・ドミンゴ

伝統的な砂型を使った鋳造


私たちは伝統的の砂型鋳造方法を採用しています。オーストリア国内で製造したフレームを鋳造後約6ヵ月、工場屋内で休ませます。こうすることで、ボディに組み込んだあとでも歪みが生じず、余計な力がボディに加わりません。弦にかかる20トンの張力にも耐えられる、極めて安定したフレームが完成します。


写真: コンサートグランド290”インペリアル”の鋳鉄フレーム

ベーゼンドルファーのアクション


繊細なピアニッシモから壮麗なフォルテッシモまで、無限に広がるベーゼンドルファーの音色。それを生み出すアクションは、アーティストや技術者の協力を得て独自の仕様で製造されます。コントロールしやすく、扱いやすい優れたアクションは、アーティストの感情をダイレクトに聴衆に伝えます。



慎重にアクションを調整



アクションのアセンブリーに鍵盤を組み込む

ほかにはないタッチ


ベーゼンドルファーの鍵盤は、ドイツのクルーゲ社に生産を委託しています。全ての鍵盤は当社の仕様に基づき、最高の品質をクリアすることが条件となっています。表面には、象牙にヒントを得た『Tharan』(タラン)(特許)を使用し、心地よい演奏感を実現しています。他にない特別な響きのため、タッチも重要な要素です。

世界にたった一台の、特別なピアノを


当社は年間約300台という、少量生産体制を取っているからこそ、お客様それぞれのご要望にお応えすることができます。高級な木地仕上げから、お好みの色、あるいはお客様ご自身のデザインに沿って、熟練の名工が丁寧に彫刻を施したエンブレムまで、どんなことでもご要望にお応えすることができます。ピアノの製作にかかる前に、ベーゼンドルファーの職人が色見本を用意し、お客様のデザインを伺いながら、共同で作業を進めます。お客様の確認を頂いてから、お客様ご自身のように、個性豊かな一台だけのピアノが製作されることになります。

特注仕上げにつきましては、当社もしくは、お近くのベーゼンドルファー販売店にお問い合わせください。

ウィーンのベーゼンドルファーサロン



1914年から今日まで、ウィーンの中心に近い、カノーヴァガッセ4、ベーゼンドルファーシュトラッセ(ベーゼンドルファー通り)12番地の同じ場所で営業を続けるベーゼンドルファー社の旗艦店です。ウィーン楽友協会と同じ建物内にサロンを構え、誰もが運命のピアノに出会える場所です。

今も昔も


2008年1月、ヤマハがベーゼンドルファーの経営権引き継ぎました。ヤマハは、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の要請を受け、楽器メーカーの減少で存続の危機にあった「ウィーンの音・音楽」を継承するための重要な楽器群であるウィンナー・オーボエ、ウィンナーホルン等のウィーン専用楽器の開発を手掛け、伝統の一端に連なる文化的責任を果たしています。

ウィーンの歴史と文化の中で180年にわたって伝統と名声を築いたベーゼンドルファー社が、世界的なプレミアムピアノを象徴する企業でもあることに十分な敬意を払ったうえでの英断でした。

ウィーンの伝統的な響きや楽器製作の特殊性を深く理解し、尊重しているヤマハは、ベーゼンドルファー社の経営にあくまで”参加”し、伝統的なピアノ製造技術の伝承を支援するという立場を明確にしています。それゆえ、ベーゼンドルファーは現在も全てのピアノを一貫してウィーナー・ノイシュタット工場のみで製造しています。私たちは、オーストリア人チームによる製品、技術開発に信頼を置いています。ベーゼンドルファーはピアノ界の伝統メーカーとして、いまもなお年間約300台をウィーンに近い創業の地で製作しています。

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